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台湾の救世主となれるか?台湾製ワクチン開発製造のバイオ企業「高端疫苗(メディジェン)​」を徹底解剖【企業研究】

このところ、中国製コロナワクチンのバイオ医薬品企業について続けて掘り下げてきました。

では、台湾の国産ワクチン開発状況はどうなっているのでしょうか。もちろん、日本ではあまり話題になっていませんが、台湾ではずっと話題になっており連日メディアで報道されています。

台湾は小さな国で医薬品市場が小さいと言われていますが、ワクチン開発はどのような状況でしょうか。

本日は、国産ワクチンを開発している台湾企業のうち、現在第一線を走っている(と言われている)バイオ医薬品メーカー「高端(メディジェン、MVC)​」について掘り下げていきます。

中国製ワクチンのバイオ医薬品について知りたい方は、以下の記事を御覧ください。

台湾企業「高端(MVC)​」について語る前に、台湾のワクチンそのものの調達状況について、少し補足説明をします。

皆さんご存知かもしれませんが、台湾は断続的にワクチン不足に苦しんでおります。

不足原因はいくつかあり、「中国との政治的関係」「中国製ワクチンへの敬遠」などが挙げられます。

このワクチン不足を打開するためには、「海外から積極的なワクチンの輸入」「台湾自国でワクチン製造を行う」という2点が挙げられ、台湾政府はそれぞれ交渉している最中です。

「海外からのワクチン輸入」に関して、

  • 2021年2月米モデルナから505万回分コロナワクチンを購入。(2021年6月30日時点で約80万回分が台湾に到着済)
  • 2021年英アストラゼネカからCOVAXを通じて102万回のコロナワクチンを確保。(既に約20万回分が台湾に到着済)
  • 2021年3月英アストラゼネカから約11万7000回を直接購入。
  • 2021年9月末独BNTバイオンテックから購入予定。(2021年7月暫定)

それ以外に外国から手を差し伸べてもらったワクチンは以下のとおり。

  • 2021年6月4日日本からアストラゼネカ(AZ)製ワクチンを台湾に124万回分提供。7月中旬までに更に100万回分を提供予定。
  • 2021年6月20日アメリカからモデルナ製ワクチンを台湾に250万回分提供。
  • 2021年6月22日リトアニアよりアストラゼネカ(AZ)製ワクチンを台湾に約2万回提供することを発表。

一方で、台湾の人口は2,400万人弱であり、外国人は73万人程度いるということなので、ワクチンの数は依然全く足りない状況です。

なお、台湾政府は足りないワクチンは全て国産ワクチンで補おうとしており、現在の計画ではワクチン接種優先順位の最下位の健常者は全員国産ワクチンが充てがわれる予定となっています。

目次

高端疫苗 (メディジェン)

正式名称は高端疫苗生物製剤股份有限公司(Medigen Vaccine Biologics.)。

本社概要

本社台湾新竹生醫園區
従業員数不明
設立年月日2012年
資本金21.25億台湾元
オフィス竹北、台北內湖
日本オフィスなし
上場先台灣興櫃市場(証券コード:6547)
外資投資率6.33%
累計営業収益314万台湾元(2021年3月)
ウェブサイトhttps://www.medigenvac.com/public/

事業内容

ワクチン及び関連製品の研究、開発、生産及びマーケティング

上市されたワクチン

なし

パイプライン

  • 新型コロナワクチン(組換えタンパクワクチン)、ダブルブラインド第2相試験キーオープン終了[2021年7月19日追記]緊急使用承認済。パラグアイにて第3相試験申請中。
  • H7N9鳥インフルエンザワクチン、第3相試験
  • エンテロウイルスEV71型ワクチン、ダブルブラインド第3相試験キーオープン終了(2021年6月21日現在)
  • デング熱4価弱毒生ワクチン、第3相試験中
  • RSウイルス Anti-RSVバイオシミラー(バイオ後続品)、WHO・UCABとの共同開発、第1相-2相

台湾でも物議を醸しているコロナワクチンの治験。現在高端のワクチンは第2相を終えており、ダブルブラインド試験のキーオープンまで終了しています。その後、第3相試験へ通常突入するのですが、台湾衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)による緊急使用承認(EUA)に乗りたいため、ピッチを上げて申請している段階です。

6月28日段階では、TFDA所長が「高端疫苗のテクニカルな文書に不備があり、追加提出が必要。そのため、EUA審査は7月末まで延期される」という見通しを明らかにしています。

元々、7月中に台湾国民へのワクチン接種を行う計画を挙げていましたが、今後どうなるでしょうか。

ピッチを上げるスピード感も大事ですが、第1相-第2相被験者が合計4000人強しかいないのが非常に気になるところです。(第1相:45人、第2相:3700人うち外国人500人、第2相(高齢者対象):400人)

高端疫苗がこのまま1番乗りになるか、それとも他社(聯亞生技※)が追い越してしまうのか、今後も動向に注目です。

※聯亞生技

現在、高端疫苗と最も競っている台湾バイオメーカー。2021年6月27日、高端疫苗と同じく臨床試験第2相を終え、キーオープンも完了している。

2021年7月19日追記

7月6日、高端疫苗はパラグアイ当局に第3相臨床試験の実施を申請しました。パラグアイでは、アストロゼネガ(AZ)製ワクチンとの比較試験実施予定とのことです。

7月19日台湾の衛生福利部より高端疫苗(Medigenワクチン)が、正式に緊急使用承認(EUA)が許可されたと発表されました。

現在、8月中に少量から供給開始し、500万回分を供給予定で、年末までに更に500万回分を供給するとのことです。

対象は20歳以上、1回目からは28日間隔を空ける必要があります。

日本企業とのパートナ

現在はなし。

株価チャート(台灣證券交易所(TWSE)、6547)

https://invest.cnyes.com/twstock/TWS/6547/technical

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、高端疫苗について紹介しました。

被験者が4000人程度しか治験を終えていないので、個人的には第3相試験まで終えてから緊急承認(EUA)を受けてほしいと思いますが、ワクチンが確実に不足しているため、台湾政府も台湾衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)へ圧力をかけてしまうことを危惧しています。

また、上市済の製品ですが、もしや0じゃないでしょうか…?私はそこが一番恐いと思っていて、下手したら中国産以下のワクチンが出てきてしまうのでは…。だから、第3相を避けてEUAへ持っていきたいのではないか、と勘ぐってしまいます。

いずれにせよ、TFDAには正しい判断をしていただき、安全にワクチンを供給していただきたいですね。

[2021年7月19日追記]

台湾の国産ワクチンが初承認されたということで、台湾では大きな注目を集めています。

第3相入ってから、しっかり安全性や有効性を確かめてほしかったのが本音ですが、TFDA(日本で言うPMDA)が判断したということで、緊急使用可能な程度のデータは確保されたのだと考えられます。

いずれにせよ、台湾は小さく医薬品市場も小さいなか、迅速に国産コロナワクチンを産出したことは1つ評価されても良いでしょう。また、台湾にとっても、国産ワクチンを自身で供給出来るというのは、今後の安心材料にもなります。

今後の供給状況にも注目していきたいところです。

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