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台湾のワクチン接種率を阻む壁?上海復星医薬(フォースンファーマ)を徹底解剖【企業研究】

今回は、台湾の宿敵なのかもしれない(?)復星集団(フォースングループ)及びその製薬部門を担っている上海復星医薬(フォースンファーマ)について、調べていきたいと思います。

あまり政治的に刺激したり煽ったりするつもりはないのですが、何故フォースングループが台湾の宿敵と呼ばれているかという経緯を少し説明します。

アメリカ大手製薬メーカー・ファイザーが生み出したmRNAワクチンですが、このワクチンは元々独バイオ・ビオンテック(以下、BNT)と共同開発したものです。

販売権については、欧米はファイザーが、GCR(Greater China Region;中国、香港、マカオ、台湾の各地区)を含む他の地区をBNTが請け負っており、BNTはGCRに対しては上海復星医薬(フォースングループ)へ生産&開発代理権を渡しています。

よって、台湾がBNT製ワクチンを購入したい場合、フォースンと掛け合う必要が出てきます。

フォースン側自身で開発生産が可能となると、実質中国産という形になってしまうため、
中国産ワクチンを懸念する台湾世論からすると、BNTワクチンは敬遠されてしまうわけです。

そこで、台湾政府は独BNT本社から直接輸入しようと掛け合うのですが、そこでもうまく折り合わず本社からの輸入をすることができないため、BNT製ワクチンが2021年6月24日現在未だに台湾へ輸入することが出来ていない現状です。

目次

フォースングループ(復星集団)

フォースングループ(復星集団)は、20企業ほどをまとめる集合体であり、「健康、楽しさ、豊かさ、知恵づくり」の4大セグメントを掲げて世界中の過程へ高品質の製品を届けることを指命に掲げています。

復星集団の基幹企業として、上海復星国際が君臨します。

上海復星国際の正式名称は、上海復星国際有限公司( Fosun International Limited)です。

フォーブス誌が発表した2020年の「世界上場企業2000社」ランキング(Forbes global 2000)で、復星国際は2019年より45ランクアップした371位にランクインしました。

本社概要(上海復星国際)

本社中国上海市黄浦区
従業員数76000名強
設立年月日1992年
資本金不明
オフィス上海、北京、香港、パリ、ロンドン、ニューヨーク、リスボン
上場先香港証券取引所(証券コード:00656)
売上高1270億人民元(2020年)
純利益75億人民元(2020年)
ウェブサイトhttps://en.fosun.com/

傘下の日本オフィス

フォースングループは、2014年「イデラキャピタルマネジメント」を買収。

また、日本におけるビジネスを広げるため、Fosun Entertainment Japan株式会社を2020年6月設立。専門部署を立ち上げ、ヘルスケア事業にも進出予定。

事業内容

復星集団は、復星医薬、復地、豫園商城、建竜集団、南鋼連、金鉱業、海南鉱業、永安保険、分衆伝媒、club med、folli follie、復星保徳信人寿保険などに総合的に投資。

株価チャート

傘下企業

なお、フォースングループの4大セグメントのうち、健康部門には4つの傘下ヘルスケア企業が名前を連ねます。

  • 復星医薬(FOSUN PHARMA)
  • 復星健康(FOSUN HEALTH)
  • 復星康養(FOSUN CARE)
  • 復星智健

下のセクションでは、製薬企業部門に値する復星医薬(FOSUN PHARMA)について深堀りしたいと思います。

フォースンファーマ(上海復星医薬集団)

フォースンファーマは製薬バイオ企業に値しておりますが、この会社もまた様々な企業からの集合体であり、沢山の企業が名前を連ねています。

2020年9月10日、「2020中国医薬健康産業発展大会及び第4回中国医薬研究開発イノベーションサミット(PDI)」は「2020中国バイオ医薬品研究開発実力ランキングTOP50」を発表しました。復星医薬は、低分子創薬、モノクローナル抗体バイオ創薬およびバイオ類似薬、CAR-T細胞創薬などの研究開発への投資と著しい成果により、トップ1位になっています。

会社概要(上海復星医薬)

本社中国上海市宜山路
従業員数2300名弱
設立年月日1994年
資本金2億人民元
オフィス上海
日本オフィスなし
上場先香港証券取引所(証券コード:02196、2012年上場)上海証券取引所(証券コード:600196、1998年上場)
売上高280億人民元(2020年)
純利益34億人民元(2020年)
ウェブサイトhttps://www.fosunpharma.com/index.html

事業内容

腫瘍や免疫調節、生活習慣病(高血圧や高脂血症、高血糖、高尿酸血症)や合併症、中枢神経系疾患などに重点分野をあて、低分子イノベーション薬、抗体医薬、細胞治療技術プラットフォームのほか、標的タンパク質分解、RNA、腫瘍溶解性ウイルス、遺伝子治療などの先端技術分野を積極的に開拓。

フォースンファーマグループとして名前を連ねる製薬バイオ医薬品企業は以下のとおり。

医薬品開発

プラットフォーム子会社名
高分子医薬品Henlius (上海复宏汉霖生物技术有限公司)
低分子医薬品FOCHON PHARMACEUTICALS(重庆复创医药研究有限公司)
低分子医薬品FOSUN ORINOVE(复星弘创(苏州)医药科技有限公司)
CAR-T細胞免疫治療FOSUNKite(复星凯特生物科技有限公司、ギリアドとのジョイントベンチャー)
バイオ医薬品Avanc Pharma (锦州奥鸿药业有限责任公司)
バイオ医薬品?CHEMO WANBANG BIOPHARMA(上海凯茂生物医药有限公司、万邦医薬とスペインChemoGroupとの合弁会社)
ワクチンAleph(大连雅立峰生物制药有限公司)
mRNAワクチンBNTとの新会社設立中(8月?)

mRNAワクチンについては、下の記事で詳しく解析しました。

医療機器及び医学的診断

  • Sisram medical
  • CHINDEX
  • BREAS
  • FOSUN DIAGNOSIS
  • 北鈴
  • Yaneng BIO

医薬品製造販売

プラットフォーム子会社名
ジェネリック医薬品万邦医薬(江苏万邦生化医药集团有限责任公司)
ジェネリック医薬品YAOPHARMA(重慶薬友製薬有限責任公司、重庆药友)
注射剤CDMOGland Pharma(インド 銘柄 NSE: GLAND)
GUILIN PHARMA
SINO PHARM
TRIDEM PHARMA

創薬、低分子医薬品、医療機器、バイオ医薬品…なんでもありますね。

上市された製品

  • 漢利康(リツキシマブ注射液、Henlius社);主に非ホジキンリンパ腫の治療用。関節リウマチの適応にも用いられており、中国で第3相臨床試験が行われている。2019年02月上市。
  • 漢曲優(trastuzumab、欧州での商品名:Zercepac®、Henlius社):EUの欧州医薬品庁(EMA)と中国当局NMPAより承認。HER2陽性早期乳腺癌、転移性乳がん、転移性胃がんに適応。2020年07月EMA、8月NMPA上市。
  • 漢達遠(アダリムマブ注射液、Henlius社):乾癬、強直性脊髄炎、リューマチ関節炎、ぶどう膜炎の自己免疫疾患に適応。中国乾癬患者の第3相研究データを有する唯一のアダリムマブ。2020年12月上市。

など

2021年6月22日、ギリアド・サイエンシズとのジョイントベンチャーであるFosun Kite が中国国内で初めてCAR-T細胞療法について、中国国家食品薬品監督管理局(NMPA)から承認を受けました。中国でのCAR-T細胞療法における大きな第一歩をフォースンファーマが踏み出しました。

ジェネリック医薬品は以下。

  • 阿拓莫蘭(Reduced Glutathione Tablets、YAO PHARMA社):慢性B型肝炎の肝機能維持治療用
  • 万蘇林(Low Protamine Insulin Injection,万邦医薬):糖尿病患者の高血糖コントロール

パイプライン

低分子医薬品

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項目適応国内研究国内研究フェーズ国外研究国外研究フェーズ開発企業
SAF-189NSCLC臨床試験第2相臨床試験準備第2相(アメリカ)FOCHON
FCN-411NSCLC&HSNCC臨床試験第1相FOCHON
FN-1501末期肝細胞癌臨床試験第1相臨床試験第1相(アメリカ、オーストラリア)上海復星医薬産業
FCN-437固形がん臨床試験第1相臨床試験第1相(アメリカ)FOCHON
万格列净片2型糖尿病臨床試験第1相万邦医薬
FCN-159固形がん臨床試験第1相FOCHON
ORIN1001進行性固形腫瘍臨床試験第1相臨床試験第1相(アメリカ)FOSUN ORINOVE
注射用多西他赛
聚合物胶束
固形がん臨床試験第1相凯茂生物
FCN-647 胶囊リンパ腫臨床試験開始承認FOCHON
FCN-207 片痛風臨床試験開始承認FOCHON
FCN-011 胶囊固形がん臨床試験開始承認FOCHON
FCN-338 片リンパ腫臨床試験開始申請中第1相臨床試験開始承認(アメリカ)FOCHON

高分子医薬品(Henliusより抜粋)

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産品生物学的標的適応症研究フェーズ
HLX01(リツキシマブ)CD20関節リウマチNDA(上市間近)
HLX04(ベバシズマブ)VEGF転移性結腸がん、非扁平上皮非小細胞肺がんNDA(上市間近)
HLX04(ベバシズマブ)VEGF湿性加齢黄斑変性・糖尿病​網膜症IND(上市間近)
HLX10 単剤 PD-1高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)・ミスマッチ修復機能欠損固形がんフェーズ2
HLX10単剤 PD-1慢性B型肝炎フェーズ2
HLX10多剤併用化学療法 PD-1転移性食道扁平上皮癌フェーズ3
HLX10多剤併用化学療法 PD-1扁平上皮非小細胞肺がんフェーズ3
HLX10多剤併用化学療法 PD-1進展型小細胞肺がんフェーズ3
HLX10多剤併用化学療法 PD-1胃がん術前補助療法 (Neoadjuvant therapy)フェーズ3
HLX10多剤併用化学療法 PD-1子宮頸がんフェーズ2
HLX10+HLX04(ベバシズマブ)、PD-1+VEGF非扁平上皮非小細胞肺がんフェーズ3
HLX10+HLX04(ベバシズマブ)、PD-1+VEGF肝細胞がんフェーズ2
HLX10+HLX07、PD-1+EGFR頭頸部扁平上皮がんフェーズ2

など臨床試験フェーズ2以降のものを紹介しましたが、高分子医薬品パイプラインでは紹介しきれていないもの(フェーズ1やそれ以前)も20個程度あり、かなり層の厚いパイプラインです。

改めてパイプラインを見てみると、オンコロジーに注力していることがわかりますね。特に免疫チェックポイント阻害薬の治験が目立ちます。

また、上の表以外で最も注力されているのが、フォースンファーマとビオンテックが共同で中国上市承認を目指しているmRNAワクチンです。このワクチンについては、別途記事を作成しました。

日本傘下企業

現在はなし。

創薬ファンドを立ち上げ、日本進出予定。(2021年4月プレスリリース有)

株価チャート(HK,2196)

https://www.tradingview.com/x/x3lzxYS5/

テクニカル分析ウィジット: https://jp.tradingview.com/chart/s9W6fxtx/

株価チャート(SH,600196)


TradingView提供の600196チャート

まとめ

いかがでしょうか。

中国の大規模グループ製薬会社を初めて取り上げました。

台湾政府が相手にしているフォースングループ組織の複雑さを垣間見ることが出来ましたでしょうか。
企業数が多く、非常に複雑な組織であり、なお世界中に権力を広げている会社であるため、残念ながら交渉は一筋縄ではいかないのでしょう。

これだけ巨大な企業ですが、中国市場をなめてはいけません。
まだまだもっと大規模なグループ企業が隠れています。

今後も、少しずつ中国の製薬市場を解き明かしていきたいと思います。

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