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【mRNAワクチン】中国製薬業界の最新ニュース【フォースンファーマ】

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前回、上海復星医薬(フォースンファーマ)について企業研究を行いました。

このなかで、中国製薬市場で先駆けているmRNAワクチンの技術が最近特に話題になっており、今後注目すべきニュースとしてまた取り上げることといたしました。

目次

1番乗りになれるか?フォースンmRNAワクチンの中国承認

2020年3月、フォースンファーマはドイツのビオンテック社と提携契約を締結し、BNT162ワクチン候補などを含むビオンテック社がRNAテクノロジーのプラットフォームを通じて開発した新型コロナワクチンの中国本土および香港・マカオ・台湾地域における臨床開発および商業化権益を最大8500万米ドルで獲得したと発表しました。また、フォースンは5000万米ドルを投じてバイオテックが新たに発行する158万株の普通株を買収しました。

これにより、フォースングループは、ビオンテックの最先端の技術を手に入れることができ、ビオンテックは簡単に中国市場へ進出することができるわけです。

中国製mRNAワクチンはまだ未承認

しかし、その発表後1年余り。ビオンテック協同のmRNAワクチンについて、全く音沙汰なしでした。

新たな動きがあったのは、2021年5月。

複数メディアより要約

フォースンファーマ(復星医薬)によると、持ち株子会社の復星医薬産業はバイオ企業のビオンテック(ドイツ)と合弁会社を設立し、mRNA新型コロナワクチン製品の現地生産と商業化を実現する予定。約束によって、双方はそれぞれ合弁会社の資本金50%を負担し、うち復星医薬側がプラントおよび生産施設など合計1億万米ドル弱を出資、ビオンテックはその関連の生産技術とノウハウ許可など無形資産に値する合計1億万米ドル弱を出資するとのこと。

6月には、フォースンファーマの株主総会にて「既にビオンテックと関連技術の移転は完了しており、上海金山の工場でドイツ側との専門家と一緒に事業展開を行っている。8月には正常生産を開始する見込み」と、フォースンファーマ側は株主の質問に答えている。

ここまで騒がれているこのBNTワクチンですが、2021年6月26日現在、未だに中国国内では国家薬品監督管理局(NMPA)の承認を受けておりません。

フォースンファーマ(復星医薬)が国内で市販申請を行うには中国CMCの審査と臨床ブリッジング試験データの提出が必要と言われています。現在、BNT162 b2が中国国内で臨床試験フェーズ2を行っておりますが、ブリッジング試験の完了時期や上市申請については明言されていません。ただ、ブリッジング試験は、フェーズ3まで治験を行う必要がないため、遅くとも今年7月までには中国上市承認を得ることができるのではと巷では予想されています。

3種のmRNA比較

ウリジンmRNA
(uRNA/BNT162 a1)
ヌクレオシド修飾メッセンジャーmRNA
(modRNA/BNT162 b1&b2)
低分子活性化mRNA
(saRNA/BNT162 c2)
臨床段階技術
生産とcmcプロセスが整っている
臨床段階技術
生産とcmcプロセスが整っている
臨床段階技術
既にGLOPの毒性評価データ有り
生産とcmcプロセスが整っている
根拠
・内源アジュバント効果
・非常に良好な忍容性と安全性が期待される
・抗体&強いT細胞反応
根拠
・アジュバント効果が少ない
・非常に良好な忍容性と安全性が期待される
・強い抗体反応& CD4 T細胞反応
根拠
・タンパク質の長期発現
・非常に良好な忍容性と安全性が期待される
・高用量ワクチンの有効性が現れる可能性が高い

mRNAワクチン中国初上市を狙う競合製薬企業の存在

そんなわけで、中国でmRNAワクチンはどの会社も未だNMPA当局より承認を受けていない状況です。

そのため、ビオンテックBNTワクチンのような「海帰派※」に負けじと、中国国内でも「本土派※」を中心として、mRNAワクチンの研究開発が活発に行われています。

海帰派

数年間の海外留学を経て中国本土に戻ってきた中国人を指す、中国語のスラング。今回の分脈からすると、海外から輸入した技術を揶揄する言葉。

本土派

海帰派の反義語。中国国内での技術発展を志し、国産化医薬品へのアイデンティティが高い層を指す。

現在、中国内資製薬企業でもmRNAワクチン承認へ追い込みをかけています。
対抗馬として挙げられている会社ですが、

  • Walvax Biotechnology Co(沃森生物)銘柄:300142、SZ
  • 軍事科学院軍事医学院
  • スタートアップバイオ企業蘇州艾博生物科技有限公司(艾博生物)

以上の3社が合同で共同研究ワクチン(ARCoV)を開発している状況です。

艾博生物は2021年4月6億人民元以上のシリーズB資金を調達し、ワクチン産業基地を建設&製品ラインをさらに拡充させました。

沃森生物が2020年6月28日に発表した公告によると、ARCoVは中国国家薬監督局の「薬物臨床試験承認件」を取得し、中国で初めて臨床試験段階に入る新冠mRNAワクチンとなりました。

ARCoVは現在、中国では第2相臨床試験の最終段階に入り、5月には海外で第3相臨床試験(メキシコ、コロンビア、パキスタン)を実施開始しています。中国国内での新型コロナワクチンの承認経験から、第3相臨床試験の初期段階で緊急接種の承認を得ることができます。一方で、国薬製(シノファーム)、科興製(シノバック)のワクチンが中国国内で条件付きで発売された後、国家薬品監督管理局(NMPA)の新型コロナワクチンの緊急使用承認のスピードは著しく鈍化していますので、緊急使用承認が早いかフォースンファーマとバイオテックのワクチンの上市承認が早いか動向に目が離せないですね。

また、原料の供給課題も挙げられます。

フォースンファーマ(復星医薬)は今のところ、生産現場の建設進度や原材料供給問題をどのように解決するかについては明らかにしていません。

フォースンファーマ(復星医薬)の呉以芳董事長はこれまで、第1段階のmRNAワクチンは必ず海外に依存し、第2段階は原液を輸入して中国で注入することを検討すると公言していました。

これに対し、沃森生物は、mRNAワクチンの生産能力は復星医薬には及ばないが、主要原料や主要設備は国産化されており、技術の自主性はバイオテックや復星医薬より高いとされています。

一部抜粋して要約;https://www.time-weekly.com/post/280938https://finance.sina.com.cn/tech/2021-06-11/doc-ikqcfnca0546605.shtml

そもそもビオンテックBNTワクチンは効果あるのか?

今まで長々とビオンテックワクチンが中国では現段階で未承認であり、フォースンファーマの意地が試されているということを述べてきました。

台湾への輸出でも物議を醸しているビオンテックとフォースンファーマですが、そもそもビオンテックワクチンは効果があるのでしょうか。

6月21日に面白い記事が上がっていました。この記事は、香港でビオンテックワクチンとシノバックワクチンの抗体レベルを検査したところ、ビオンテックワクチンが著しく優勢ということでした。

香港では、現在BNTワクチンは2021年3月に当局より承認が降りています。

ただし、今現在香港で確保しているワクチンは、全てドイツ製でドイツから直輸入しているため、中国の製造工場がオープンした場合、このワクチンの効果や供給状況は如何なるものか今後の動向が気になるところです。

まとめ

いかがでしたか。BNTワクチンが台湾で揉めているため、てっきり中国でも上市承認済だと思っていたのですが、未だ未承認且つ国産ワクチンとの小競り合い中でした。

ただ、中国でもmRNAワクチンは注目されており、どの会社に軍配が上がるのか楽しみですね。(株価にも大きく影響が出そうです。)また、こちらのサイトでも随時アップデートしていきます。

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